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「だって、暇になったんだもん」──子どもの言葉が教えてくれた、学びの本質

更新日:2026/02/06

「なんで勉強するようになったの?」

スタッフの何気ない質問に、2人の子どもたちが答えた言葉は、私たちの想像をはるかに超えてシンプルでした。

「だって、暇になったんだもん」

この一言に、私たちが5年間追い求めてきた「教えない教育」のすべてが詰まっていました。

床に寝そべったまま始まった授業

2024年の秋、2人の男の子が体験入学のために私たちの学校を訪れました。どちらも学校で傷ついた経験があり、「勉強なんかしたくない」という気持ちを強く抱えていました。9月から10月にかけて何度か問い合わせをいただき、ゆっくりと関係を築いてきたご家庭のお子さんたちです。

初日、教室で私たちが目にしたのは、床にごろんと寝そべる子どもたちの姿でした。

一般的な教育現場であれば、「ちゃんと座りましょう」と促すところかもしれません。けれど私たちは、まったく違うアプローチを選びました。

「寝そべっててもやれるんだったら、やってみようか」

スタッフは子どもたちと同じように床にごろんと寝そべり、横になったまま教材を覗き込みました。「ああ、ここはこうだね」「へえ、おもしろいね」。天井を見上げながら、子どもと同じ目線で対話が始まりました。

この光景を見た研修担当のスタッフが、静かにつぶやきました。「これがここのねだね」。

型にはめるのではなく、その子がいる場所から始める。それが私たちの出発点です。

保護者と交わした、ひとつの約束

初日の様子を見た保護者の方は、とても喜んでくださいました。「うちの子が、笑ってる」。その表情を見て、私たちも嬉しくなりました。

ただ、私たちは知っていました。この状態は続かないということを。

入学を検討される保護者の方々との面談で、私たちは必ずこう伝えています。「勉強を嫌がっているお子さんに、私たちは『勉強しなさい』とは言いません。それでよろしいですか」。

驚かれる方もいらっしゃいます。では何もしないのか、と不安に思われる方もいます。

「初日は頑張れるんです。でも、だんだんと『やっぱり勉強は嫌だ』『苦しい』という本当の気持ちが出てきます。それでいいんです。むしろ、それを経験することが大切なんです」

私たちには確信がありました。きっと子どもたちは「暇だ」と言い始める。その瞬間こそが、学びへの入り口になるのだと。

「暇だと感じた時に『一緒に入ってみる?』と声をかけます。その声かけが届くようになるまで、長いお子さんで半年、短いお子さんで3ヶ月ほどかかります」

この2人の保護者にも、10月の時点でそう説明しました。そして12月、正式に入学が決まりました。

予想通りに訪れた、苦しい日々

入学後、予想通りのことが起こりました。初日の笑顔はどこへやら、翌日からは教室の隅でぽつんと座っていたり、授業が始まっても別の部屋で過ごしていたり。「やっぱり勉強は苦しい」「わからない」「やりたくない」。そんな気持ちが、言葉にならない表情からにじみ出ていました。

私たちは焦りませんでした。むしろ、この時期が必要なプロセスであることを知っていたからです。

ただし、完全に何もしなかったわけではありません。スタッフは毎日、小さな声かけを続けました。

「今日はこんな勉強するよ〜」
「さっき、おもしろいことがあったんだけど」
「今日はここまでやってみる? 無理そうだったらやめていいから」

少しずつ、少しずつ。その子が到達できる範囲を一緒に確認しながら、毎日小さな一歩を積み重ねていきました。

授業の形も工夫しています。みんなで声を出して楽しく学ぶ一斉授業の時間と、自分のドリルを自分のペースで進める個別学習の時間を組み合わせています。

その子に学ぶことを全て任せるのではなく、どうやったら学びを楽しい時間と思えるのか?基礎的な学習を苦役なものにしないのか。その課題に真正面から向き合っています。

そして訪れた、あの瞬間

入学から約2ヶ月が経った2026年2月のある日、ふと気づくとそこに2人の姿がありました。

教室で、みんなと一緒に授業を受けている。それも、当たり前のように座って。

スタッフは目を疑いました。いつの間に? どうして?

さらに驚いたのは、その積極性でした。

「はい!」

2人の手が勢いよく挙がります。問題に挑戦する姿、みんなの前で発表する姿。あの、授業に入れなかった子どもたちと同じ子だとは思えないほどの変化でした。

「これできた! 丸つけして!」 「次は? 次は何するの??」

ドリルを終えると、すぐに次の課題を求める。学ぶことに貪欲になっている2人の姿がそこにありました。めちゃくちゃ積極的。これが、あの床に寝そべっていた子どもたちと同じだなんて。

なんでこんな変化が起きたんでしょうか。

スタッフが何気なくこう尋ねました。「そういえば、ついこの前まで勉強なんか全然やらなかったのに、今は当たり前のようにやるようになったね。なんでやるようになったの?」

2人は顔を見合わせて、少し照れくさそうに、でもとても自然に答えました。

「だって、暇になったんだもん」

この言葉を聞いた瞬間、教室中が温かい空気に包まれました。スタッフたちは顔を見合わせ、静かに頷き合いました。まさに私たちが信じてきたことが、目の前で証明されたのです。

子どもには本来、「できるようになりたい」「知りたい」「分かるようになりたい」という強い思いがある。大人がそれを信じて、待って、支える。ただそれだけで、子どもは自ら動き出す。しかも、驚くほどのエネルギーで。

この2人が教えてくれたのは、学びの本質でした。学びは、外から与えられるものではない。内側から湧き上がってくるものなのだと。

学びは、本来苦痛ではない

現在、日本では不登校の子どもが増え続けています。けれど、フリースクールなどの民間の学びの場に通える子どもは、わずか5パーセント程度です。学費の問題、地理的な制約、情報不足など、さまざまな理由で多くの子どもたちが学びにアクセスできない状況にあります。

私たちは考えます。学びとは本来、苦痛のように耐えて進めるものではないはずだと。自分で楽しんで、その学習すること自体が楽しいと感じられるように支えるのが、私たち大人の役割ではないかと。

与えられるだけの授業をただ受け流すのではなく、自分で選んで、自分で決めて、自分の人生を自分で引き受ける。そんな「本当の自分を理由にして生きる自由な子ども」を育てること。それが、開校5年目を迎えた私たちの使命です。

小学校年代の数年間が持つ意味

これまでの経験から、ひとつ確かなことがあります。半年、1年と自宅で過ごしてから来られるお子さんもいますが、2ヶ月、3ヶ月とブランクが少ない方が、回復して学びに向かう速度が明らかに速いということです。

小学校年代の数年間は、その後の成長に大きく影響します。「どうせうちの子には無理だろう」「もう少し様子を見てから」と先延ばしにするよりも、まずは一度、お子さんと一緒に私たちの学校を見に来てください。

ここ大分県豊後大野市の山あいにある明治創業の酒蔵をリノベーションした校舎では、今日も小学1年生から中学3年生までの子どもたちが、それぞれのペースで学んでいます。

プロジェクト学習では、子どもたち自身がテーマを決め、カフェ運営や小屋作り、修学旅行の企画まで、自分たちで計画し実行しています。「土づくり」と呼ぶ全員でのミーティングでは、トラブルやルール作りについて民主的に話し合い、決めていきます。

「暇だから、ちょっと勉強してみようかな」

そんな自然な気持ちから学びが始まり、やがて「これできた!」「次は何するの??」と、学びに貪欲になっていく。そんな子どもたちの変化を、私たちは何度も目にしてきました。

まずは無料見学へ──お子さんの「暇だ」を待ってみませんか

現在、4月入学に向けて県内外から多数のお問い合わせをいただいています。まだ生徒の空きがありますので、ぜひこの機会に見学・体験にお越しください。

見学は無料です。

お子さんと一緒に実際の授業の様子を見ていただけます。寝そべって学ぶ子、一人で黙々とドリルを進める子、「はい!」と元気に手を挙げて挑戦する子。それぞれの子が、それぞれのペースで学ぶ姿をご覧いただけます。

体験入学も随時受け付けています。

実際に授業に参加して、お子さんがどんな反応を見せるか、スタッフがどう関わるか、肌で感じていただけます。「うちの子、久しぶりに笑った」「こんな表情、久しぶりに見た」「こんなに積極的な姿、初めて見ました」。そんな保護者の方の声を、私たちは何度も聞いてきました。

もしお子さんが学校に行きづらくなっていたら。もし今の学び方が合わないと感じていたら。もし「勉強が嫌い」と言っているお子さんの、学びに貪欲な姿を見てみたいと思ったら。

まずは一度、私たちに会いに来てください。お子さんが「暇だ」と言い始める日を、そして「これできた! 次は?」と目を輝かせる日を、一緒に待ってみませんか?

授業の様子や給食、不登校支援や教育への想い、子どもたちが繰り広げる日々の遊びと学びの様子、スタッフや子ども自身、そして子どもの両親が感じる問いや気づきなど、新しい学校づくりをする中で起こるリアルな出来事をまとめています。

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