「これからも、僕は失敗をしまくります」
更新日:2025/12/13
豊後大野の風も、すっかり冷たくなってきました。 木々の葉が落ち、冬の足音が聞こえるこの季節。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
寒さは厳しくなりますが、ここのねの子どもたちの心には、とても温かい、そして力強い火が灯ったようです。
今日は、11月に行われた「ロケット教室」での出来事を、皆様にお伝えしたくてペンを執りました。
説明書を片手に、涙を拭って
「ここは学校じゃないからね。先生が手取り足取り教える場所じゃないんだよ」
こうちゃん(理事長)のそんな言葉から、ロケット作りは始まりました。 ルールは簡単です。 まずは説明書をよく読むこと。 わからなかったら、周りをキョロキョロ見ること。 それでもわからなかったら、誰かに聞くこと。 そして、わかった人は、困っている人に教えてあげること。
「私はこうやったよ。あなたはどう?」 そんな言葉が飛び交えば、わからなくて困る人はいなくなるはずだから。
でも、初めてのロケット作りです。 思うように指先が動かないこともあります。説明書の意味がわからないことだってあります。
途中で、「できない……どうしよう」と、悔しくて泣き出してしまう子がいました。 その涙は、決して弱いからではありません。 「やりたい」という気持ちが、強いからこその涙です。
そんな時、周りの仲間がそっと声をかけます。 いつの間にか、教え合い、支え合う輪が広がっていました。
「失敗」は「データ」に変わる
ロケット教室を終えた後、ある子がアンケートにこんな言葉を残してくれました。
「いやー、これからも失敗をしまくります」
この言葉を目にした時、私たちの胸は熱くなりました。 なんて素敵な、力強い言葉でしょうか。
多くの場合、私たちは「失敗してはいけない」と教わります。 失敗は恥ずかしいこと、隠すべきことだと。 でも、ここのねが、そして植松努さんが伝えたいことは違います。
失敗は、ダメなことではありません。 ただの「データ」です。 「こうやったらうまくいかなかった」という貴重な発見です。
あの子が流した涙も、ロケットがうまく飛ばなかった瞬間のドキドキも、すべてが次へのステップ。 「失敗をしまくる」という決意は、「何度でも挑戦し続ける」という宣言なのだと思うのです。
「どうせ無理」をなくすために
どうして私たちは、大人になるにつれて夢を諦めてしまうのでしょうか?
人間は生まれた時、諦め方なんて知りません。 でも、誰かが諦め方を教えてしまうのです。 「お金がないから」「頭が良くないから」「どうせ無理だ」と。
それは、とても悲しい連鎖です。 自分自身が夢を奪われた大人は、無意識のうちに、自分より弱い立場の子どもたちの夢を奪ってしまうのかもしれません。
だからこそ、私たちはロケットを飛ばします。 多くの人が「そんなの無理だ」と思い込んでいる宇宙開発。 それに挑戦し、自分たちの手で作ったロケットが空高く舞い上がる瞬間を目撃することで、「あ、できるんだ」という自信を取り戻してほしいからです。
「どうせ無理」という言葉を、「だったらこうしてみたら?」という言葉に変える。 たったそれだけで、世界は変わる気がするのです。
ネバーランドへの旅立ち

この「挑戦する心」は、今まさに取り組んでいる演劇プロジェクト『ピーター・パンとウェンディ』にも繋がっています。
「セリフが覚えられない」「動きが難しい」 壁にぶつかるたびに、子どもたちは悩み、時には立ち止まります。 でも、もう彼らは知っています。 うまくいかない時は、「どうせ無理」と諦めるのではなく、「だったらこうしてみたら?」と考えればいいことを。
失敗を恐れず、失敗を愛し、仲間と共に空へ飛び立とうとする子どもたち。 その姿は、まるでネバーランドの住人そのものです。
この演劇は、ただの発表会ではありません。 「どうせ無理」を乗り越えようとする、子どもたちの魂の記録です。 中学生たちが中心となり、台本も、演出も、資金集めも、すべて自分たちで悩みながら作り上げました。
だからこそ、皆様に見ていただきたいのです。 完成された完璧な舞台ではないかもしれません。 でも、そこにはきっと、皆様の心に「やってみたい」という火を灯す何かが待っているはずです。
子どもたちが作り上げるネバーランドへ、ぜひ遊びに来てください。 会場でお会いできるのを、心から楽しみにしています。

【ミュージカル劇『ピーター・パンとウェンディ』】
- 日時: 2025年12月16日(火)、12月21日(日)
- 開場 13:30 / 開演 14:00
- 場所: 神楽会館(豊後大野市清川町砂田810)
- 入場料: 無料(全席自由)
- お申し込み: こちらのフォームより、あなたの席をご用意させてください。
- ▼お申し込みはこちらから▼https://docs.google.com/…/1FAIpQLSd…/viewform
これからも、子どもたちの「やってみたい」を、皆様と一緒に温かく見守っていけますように。 寒さ厳しき折、皆様もどうぞご自愛ください。
(認定NPO法人ここのね 広報担当)